商品先物取引とは、「将来の一定時期に商品を受け渡しすることを約束して、その価格を現時点で決めておく取引」です。
主たる商品先物取引の機能として、「リスク・ヘッジ機能」、「資産運用機能」、「価格形成機能」があります。
例えば、輸入業者が商品を海外から輸入する場合、商品を海外から買い付けて国内で販売する間にはタイムラグが生じます。
その間に商品の価格が下落をしてしまうと、海外で安く買い付けてもそれ以上に下落し国内で販売する時点では損失がでる可能性がでてきます。
海外で買い付けをすると同時に国内の先物市場で売り契約の取引を行うことで、海外から輸入して国内で販売する取引で損失が出ても、
先物市場で利益がでて損失がカバーされるため、値下がりリスクを回避することができます。これを「売りヘッジ」といいます。
反対に、販売業者は商品の仕入れ値が変動にさらされるのを回避したいと考えています。
そのため、先物市場で買い契約の取引を行い、仮に価格上昇で仕入れ値コストが上昇し利益が縮小しても、先物市場で利益を出して損失をカバーすることで、
値上がりリスクを回避するのです。
これが「買いヘッジ」です。このように業者が抱える商品の価格変動リスクを回避(ヘッジ)する機能を商品先物取引は備えています。
商品先物取引では、将来の一定時期に必ず受け渡しを行わなければならないわけではなく、その約束の期日が来る前に反対の売買契約を結ぶことで、支払う代金と受け取る代金の差額を清算し、取引を終了することができます。これを「差金決済(サキンケッサイ)」と言います。
更に、商品の受け渡しの約束は現時点で行われますが、商品の受け渡し自体は将来の一定時期に行われるため、約束をする時点での商品の代金(買い方)、もしくは商品の現物(売り方)は必要ありません。もちろん現物が必要ないことから、価格が下がると思えば現物を持たなくても売り契約を結ぶ(空売り)こともできます。その代わり、商品の代金や商品の現物の代わりとなる取引の担保が必要になります。担保は商品の総代金の概ね5〜10%となっており、言い変えれば資金の10倍から20倍の取引が可能となります。このように投下資金でその数倍の取引が行える効果を「レバレッジ効果」と言い、レバレッジ効果を持つ商品先物取引は資金効率の高さから資産運用機能の役割も果たします。
商品先物取引は、当業者自身が取引所の会員として取引に参加したり、取引員と呼ばれる取次業者を通じて一般投資家などが誰でも自由に取引に参加できます。各々の参加者が有する膨大な情報に基づき形成される価格は、参加者全ての意向が反映された公正な価格となります。更に、定期的、継続的に取引が行われた価格は、新聞などを通じて広く公表されることから、関連業界などの指標として活用されています。
1730年に江戸幕府が、大阪堂島米相場会所に対し米の先物取引を許可したのが、日本での商品先物取引の始まりです。これ以前にも、1568年に開設されたロンドン(イギリス)の取引所や1531年に開設されたアントワープ(ベルギー)の取引所がありましたが、近代的な商品先物取引の嚆矢は上記の堂島米会所といわれています。
堂島米会所は、米を取引対象としていたので、当然、商品市場であるが、当時の日本で、米は貨幣的な役割を果たしていたこと、金本位制と銀本位制が混在していたことから、米を仲立ちとして金と銀の交換レートが実質的に決定されるという役割も持っていました。このことから、商品としての米よりも貨幣としての米の側面が高く、実質的には商品市場というよりも為替市場として機能していたと分析する研究者もいます。
しかし、米の先物取引は第2次世界大戦に伴う米流通の統制に伴い廃止され、終戦後に現行の商品先物取引が再開されたのです。
商品先物取引を受託する会社を、商品取引員という。これは株式での証券会社に相当する。ごく一部の良心的な取引員を除き、
勧誘をめぐる苦情が多く、2004年4月に成立した改正商品取引所法では、資産保全制度の拡充、商品取引員が投資家を勧誘する場合のルール強化、 商品取引員の財務基準の見直しなどが盛り込まれた。また、外国為替証拠金取引に参入する業者も多い。商品取引員側の利潤の大部分は、
顧客からの委託手数料でまかなわれているが、2004年に委託手数料が自由化された。
商品取引員に在籍する営業員のことを、登録外務員という。準国家試験である商品先物取引登録外務員資格試験に合格すると、日本商品先物取引協会から与えられ、この資格は6年毎に更新される。
モノの値段は毎日上下に動いていますが、総代金の5%〜10%の「証拠金」で行う取引のため、予想と反対に価格が大きく動いた取引を続けていると、決済のときに支払いが滞る可能性があります。
一部で支払いが滞るとそれ以外の市場参加者に迷惑がかかってしまいますが、商品取引所と商品取引員は前日と当日の差損益を毎日精算することでそのようなことがないよう投資家保護に努めています。
差額の精算は商品取引員が自社のお客さまに代わって毎日まとめて行っており、一般投資家は商品取引員に担保のような形で「証拠金」を預けているので基本的には差額の計算をするだけです。しかし、預けている「証拠金」と計算した差額を比較した時に、現在預けている金額では担保力不足な場合は、商品の総代金に対する5%〜10%という「証拠金」の比率を引き上げるために追加でお金を預けて担保力を強化しなくてはいけません。この時に預けるお金を「追証拠金(おいしょうこきん)」といいます。
また、値動きが激しい時にも証拠金の比率をひきあげるための一時的な処置を取引所が行うことがありますが、この時、投資家が一時的に預けるお金を『臨時増証拠金(りんじまししょうこきん)』といいます。なお、もとの証拠金で十分な担保力に戻った場合はその時点で「追証拠金(おいしょうこきん)」「臨時増証拠金(りんじまししょうこきん)」は返還されます。